e−たわごと No.032

投稿日 2003/05/16  白老の町
寄稿者 八柳修之
白老の町

 息子が札幌勤務となったので、様子を見がてら北海道へ行った。白老に行って見る気になった。
 札幌からL特急ライラック号で白老に下車した客は、わずか6人であった。駅から徒歩で10分位の所にポトロコタンという湖があり、その周辺は昔、アイヌ部落があった所である。現在はチセと呼ばれる再現されたアイヌの住居や民俗資料館があり、観光地となっている。観光客は我々ばかりかと思って行ってみると、観光バスでやって来た団体客で賑わっていた。
 
 道の補助金で建設したというコンクリート造りの立派な民俗資料館に入ると、昔のアイヌの生活の様子がわかる展示品で溢れていた。アイヌは和人が進出して来るまでは固有の文化をもち、厳しい自然環境と戦いながらも、豊で平和な暮らしを過ごしていたようであった。また、アイヌは千島列島や樺太とも自由に往来、交易し、北方の諸民族とは歴史的にも関わりが多かったという。
ルウンペというアイヌ独特の縁どりをした衣服やその模様をみると、北方の諸民族と多くの共通点があることに気が付く。
 北方四島の帰属は長年未解決となっているが、ロシアのものでも日本のものでもなく、アイヌ固有の土地、領土であるのではないかと思ってしまう。ロシアとは自由に往来し、もともとここには国境という概念はなかったのである。
 
 資料館を出ると、チセという藁葺きの住居が並び、中では女の人が民俗衣装を着て織物を織っているところや、民俗舞踊を見せている。近年、観光地では工芸品や食料品を作っている所を見せている所は多いが、ここのそれはなんとなく、ひっかかるものがある。
 働いている人々はみな日本人であるのに、観光客の気持ちはどこかに、アイヌを見る目に変わっているからだ。観光客の中には、あからさまに「あの人アイヌだよ」とか、「あの人にはアイヌの血が混じっているね」と口にする人もいる。「本人の承諾なく、写真を撮らないで下さい」という貼紙がある。中には「一緒に写真を撮ってくれ」という人もいるが、嫌がる女性ほど人気があるのは、気になるところだ。
 かって、インディオやマサイ族の姿を、物珍しさで撮った自分の姿をそこに見たのであった。そして、なんのために白老に行ってみる気になったが自問したのであった。

写真ははがきスタジオより  八柳 修之

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