e−たわごと No.035

投稿日 2003/05/24  頑張らない
寄稿者 八柳修之

 友人と入院中の友を見舞ったときの話しである。帰り際に友人は不用意に「どうか頑張ってください」と言った。すると病人の友は「俺は頑張っているんだ。これ以上頑張れというのか」と一寸、機嫌を悪くした。病院の帰りに喫茶店で休み、「頑張る」という言葉について二人で話した。
 
 日頃、我々は自分に対しても、他人に対しても「頑張ります」とか「頑張って」「頑張ろう」としばしば口にしている。だが、精一杯頑張っている病人や身体の不自由な人に頑張れというのは、その人の気持ちを考えない残酷な言葉でないかということ、なんとなくせかせかした感じもする言葉、日本人は「頑張る」っていう言葉を安易に使いすぎるのではないか。という話になった。
 

 英語で「頑張れ」ってなんていうのか。「Hang in there! Hold out! どうもぴったりしないなぁ」と英語に堪能な元商社員の友人は言った。
 英米にしてしかりである。ましてラテンの世界となると全くそのような言葉、概念は見出せない。スペイン語にアニモ(しっかり、元気を出せ)、という言葉はあるが、これはサッカーや競技の応援で使う言葉で、日本の「頑張る」という言葉のようにどんなときにでも使う言葉ではない。病人のお見舞いや人を激励するときは「ブェナ、スェルテ(ご幸運を)」とか「グラシャス、デイオス(神のご加護を)」って言う。

 まあ、我々はもうリタイアしたのだから、がつがつ頑張ることはよそうということになった。
 「インドネシアに駐在したときは、「5つの」って言ったもんだよ」と、友人は昔、猛烈社員であった頃、インドネシアで商売や生活するにあたっての心がけことを思い出して言った。
 いわく「@あせらず、Aあてにせず、Bあわてず、Cあきらめず、Dあたまにこず」、これは南米でも言えることだ。
 そしてインドネシア人が日常よく使う言葉として「@ムンキン(たぶん)、Aキラキラ(約、おおよそ)、Bティダ・アパパ(なるようになる)」という言葉を挙げた。
 「ムンキン」はスペイン語でキサス、「キラキラ」はマス・オ・メノス、「ティダ・アパパ」はケセラセラでありよく使う言葉である。
 
 インドネシアは暑い国、どこかのんびりしているところがあるのか、ラテン気質ともよく似ている。気候、風土、そこに賦存する資源が人間の性格、行動様式を既定するのではないか。そして、日本人は特殊な人種ではないかとさえ、思えるのである。

 ところで、「たわごと」bP1田口さんの「盛岡弁あなたはいくつわかるかなぁ?」26問の中に「けっぱる」という言葉があったが、盛岡ではあまり使わない言葉ではなかろうか。それとも我が家で使わなかっただけであろうか。
ちなみに山中さんから貰った菅谷保之著の「盛岡弁入門」の中には「けっぱる」という単語はなかった。岩手県のホームページには「がんばらない宣言」とあった。どういう意味なのかよく判らないが、いいんじゃない。
神奈川県の交通標語「のんびり走ろう神奈川県」、これで行こう。

追記:この話、後日、ウォーキングの仲間でドイツに駐在したことのあるWさんに話したら、ドイツ語にも日本の「頑張る」に当る概念はないとのことであった。

 
(八柳 修之

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