e−たわごと No.060

投稿日 2003/09/03  収集癖 蝶
寄稿者 八柳修之


ブラジルの国蝶 モルフオ蝶
 袰岩さん撮影のカラスアゲハ、背後のガラスに映るランタナの花がやわらかな雰囲気を醸し出していいね、と女房がいった。カラスアゲハは黒いビロード状の羽、後翅に赤い斑点があるから雌である。羽は緑色から青色に見る角度によって微妙に変化する不思議な魔力がある。
 今では蝶の姿を見て捕獲しようなんていう気持ちは到底起きないが、子供の頃は捕獲したいという強い衝動に駆られたものだ。袰岩さんの写真を見ていると、なにかどうでもいいことを書いてみるかという気が起きた。
 
 前にも書いたが、私は子供の頃、東安庭の農事試験場の官舎に住んでいた。官員の子弟ということで、集落の人達からは特殊な目で見られていたから、その子供達と遊ぶことはなかった。外で遊ぶことといえば、三つ違いの弟と二人で昆虫採集や、小川でザッコ獲りすることくらいなものであった。街はずれだったので、自然環境だけには恵まれていた。
 蝶が森という蝶がたくさん居そうな山もあった。その名に釣られてか、伊藤紀夫さんがお父さんから借りたという大きな捕虫網を持って遊びに来たこともあった。
 捕獲した蝶は展翅板で羽を整え、2週間ほど乾燥して標本を作る。展翅板や標本の作製に必要な用品は、開運橋と駅の中間辺りにあるサガワヤという店で売っていた。標本箱は高価だったのでカステラの空き箱にガラスを貼って作った。
 また試験場の職員に蝶の採集をしている人がいたので、賢治が設計したという花巻温泉の日時計のある花壇へ採集に連れて行ってもらったこともあった。花巻駅から温泉まで電車が通っていた。蝶の採集は中学1年の頃までは続いた。

 高校1年のとき、夏休みに生物の宿題で植物採集か、昆虫採集をし30点提出しなければならかった。1か月で30点もの蝶を採集し標本をつくることは難しかったので、以前に採集した蝶も混ぜて提出したら教師に注意された。
 いまでも、小学生の夏休みの宿題ではあるまいし、その教師の意図がどこにあったのかはわからない。
 
 大人になっても蝶の不思議な魔力に取りつかれている収集家が多いが、いつの間にかその熱は冷めてしまった。
 
 現在、蝶の標本を二つ持っている。いずれもお金を払って求めたものである。
一つはマダカスカルへ出張したとき、田舎のドライブインで貴重種と言われて買ったウラニワという名の蝶の標本である。もう一つはリオデジャネイロのお土産店で買った蝶の羽を散りばめた額絵である。アマゾンに棲息しブラジルの国蝶ともなっているモルフオ蝶、乱獲した結果、現在は保護蝶、輸出禁止となっている。
 マダカスカル、ブラジル、いずれももう行く機会もない国、旅の思い出ででしかない。
 (9・3 八柳)

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