e−たわごと No.072

投稿日 2003/11/03  ポルトガル点描4
寄稿者 八柳修之

ポルトガルで食べる
 
 最近、日本にはスペイン料理店はどこでにでもある。ポルトガル料理店にはお目にかかったことはない。おそらくスペイン料理と同じではないかというイメージを持っていたがそうではなかった。安いツアーなので、初めからお料理を期待していなかったが結構口にあった。スペイン料理よりもオリーブ油、ニンニクを使う量が少なく、日本人の味覚に合っているものが多く、魚や米も結構食べるからだ。
 彼らがよく魚を食べるのは、海に面しているという理由もあるが、山がちで放牧する土地が少ないからではないかと思った。よく食べる魚は干タラである。
タラはバカリャウといって大きくて厚いものを水に戻して料理する。タラのコロッケ、お米、ジャガイモとタラの炒めものなどタラをベースとした料理の種類は多いという。
 ナザレという港町では鰯の塩焼きを食べた。まったく日本のそれと全く同じである。子供の頃、鰯は大衆魚であったが、今では資源の枯渇、海流の変化で激減、それに結構なお値段、新築のマンションでは台所が臭くなると言って女房が嫌がる。一度、七輪で炭焼きの鰯の塩焼きを食べたいと思っていたが、ポルトガルで実現した。こちらではレモンをかけて食べるが、ツアーコンが醤油を持参して来たのはさすがだ。
 旅行社は旅の印象をよくするため、最終日にお料理を奮発する。それはカタブラーナというで料理であった。ハマグリ、イカを中心に数種類のソーセージ、玉ねぎ、トマト、ピーマンを銅鍋(カタブラーナ)で白ワイン蒸し煮にしたものである。これはグー、ポルトガル語でムイト・ボンであった。カタブラーナを買って帰ろうかと思ったが、二人だけの生活では無用の長物になる惧れがあるので止めた。もう余計なものは増やさない方針を再確認した。

 

鰯の炭焼き

 

ナザレの海岸、夏は海水浴客で溢れるという。

 

カタブラーナ
 

ロカ岬

 
 リスボンの西約30キロ、そこで文字通り大地はつき、見渡すかぎりの大海原が広がる。この岬こそ、ヨーロッパ大陸最西端、いやユーラシア大陸の果て、ロカ岬(Cabo de Roca:岩の岬の意)である。ここには観光案内所とお土産屋さんが一軒ぽつんと建っているだけ、あとは灯台と多肉植物の草原に記念碑が建っている。先端の絶壁にあるの碑にはこう書かれている。「ここに地果て、海始まる」(ポルトガルの国民詩人 カモンエスの言葉、訳はガイド氏による)
 人々は記念碑を前に写真を撮ると、観光案内所で発行する最西端到着証明書を1枚10ユーロー(1300円)払って買い求めに走った。買うのは日本人ばかりであった。我々はもうこれも卒業した。
 
 ポルトガル人を海へと駆り立てたもの、それはキリスト教を広めたいという宗教的情熱であったことは否定しない。しかし、この旅で感じたことはポルトガルの国土の狭さ、極端な階級制度、貧困、それが東インド、アフリカ、ブラジルへと向かわせたのであろう。
 岬はそこに立つ人を深い想いに誘うものである。目の前に広がる大西洋へと
不安を一杯に船出した当時の人々の姿が思い浮かんで、不思議な感慨に浸ってしまう。こうした感慨が入り混じった魂に「サウダーデ」が内在しているのであろう。幸い晴れていたが、お天気が悪ければ想いもさらに深刻な違うものとなってこよう。
 ガイド氏は、バスの中で熟年夫婦が多かったせいか「みなさんは最果てまでやって来ました。これまでの人生を振り返り、これからこと、生き方などことを共に考えるのもよいでしょう」と気のきいたことを言った。ロカ岬は旅の終わりに相応しいものであったが、能天気な我々夫婦は将来のことなど考えずに旅は終ったようだ。(11.3)

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