e−たわごと No.152

投稿日 2005/19/21  復刻「進学」
寄稿者 八柳修之

竹生さんが「たわごと」で学芸会雑感と題し、25年、当時の中学生が演目に「海へ行く騎者」という戯曲を選び、演出した当時の附中生の見識の高さに驚いたことを書いておられました。私も同感です。
またよく「学友会史第1号」(昭和25年度)を保存していましたね。このような記念誌、文集は引越の際、どこかに紛れ込んで、そのうち行方不明となるものです。
私は一冊だけ、「進学 第46号」という小学校卒業文集を持っています。全文51頁、戦後事情を反映し紙質が悪く茶色に変色しています。
代々、卒業文集名が「進学」とあるはいかにも附属らしい。当時は岩手大学岩手師範学校附属小学校、森 純吾先生は校長ではなく主事というタイトルである。昭和25年3月の卒業生は巻末の名簿によると男50名、女40名の90名、松田 隆、岡井淑子、増子義孝、江上伸夫、外山 豊、赤羽みどり、内山トシの7名の転校者も名簿も記載されています。全文51頁、戦後事情を反映し紙質が悪く茶色に変色しています。生徒一人当たりに割かれている字数は600字弱です。ここに森校長、堀合先生、吉田先生のはなむけの言葉を紹介します。
みなさん、今、あらためて、読み返してみて恩師の言葉をどう感じたでしょうか。聞き飽きたフレーズですが、人生いろいろ、私は皆さんに聞いてみたい。

 
卒業生の皆さんへ
主事   森  純 吾
昭和二十五年三月!!
一九五〇年三月!!
皆さんの小学校卒業の春!!
 歴史と国民と人類との大きな反省と新しい出発点が、皆さんの小学校卒業という新しい出発の時と不思議にも一致しています。皆さんは、誰よりも恵まれているような、神の特別な恩愛のもとにいき育っているような気がします。
こうした皆さんが、今日名も新しい岩手大学の附属小学校を卒業することをこの上なくうれしく思います。身にも心にも新しいユニホームをつけて、一斉にスタートラインに立った皆さんを祝福せずにはいられません。私達は、今、この若き選手である皆さん一人一人に、強い信頼と大きな期待をかけています。
人生の道に従って真直に走って下さい。美しい道を走って下さい。
人生の行路には、常に正しい目標と懸命の努力と公平な反省が必要です。そうして更に大切なことは、お互いに助け合い、励まし合うことです。
 正しい目標とは、神の如く完全に自分をみがくことです。そうしてその美しい人がらを以て、世のため人のためつくすことです。目あてのない人生や日々は、零に零を加えるようなもので永久にゼロです。プラスの人生とはなりません。
 懸命の努力とは、いいかげんなことでは、何事も出来ないということです。ごまかしてはならないということです。誠心誠意、全力をつくして努めるということです。そこに人生の感激も楽しみも自然にわいてくるのです。
 公平な反省とは、ひとりよがりや、自己卑下であってはならないということです。自分のありのままに正しく評価することです。反省のない所に進歩も向上もありません。
 助け合うとは、世の中は自分一人でないということです。互いに助け合い、力を出し合い、足らぬ所を補い合う所に世の中の平和は保たれるのです。
 神の恵みに充ち足りた皆さんの謙虚な人生とその向上を祈って止みません。
 
はなむけ
堀 合 英 行
 春の陽光を浴びて、万物皆よみがえらんとしている時、希望を抱いて巣立ち行く皆さんを心から祝福し、はなむけとして次の言葉をお送りします。
 それは、「若人よ、夢をもて!」ということです。夢のない人は如何に年が若くとも、香も味もなく、生気を失った老木のようなものです。これに反して夢をもつ人は、年をとっていても、寒風に吹かれながら春を待つ若芽のように、強い気力と、美しいつやを持っています。
 昔から、美しく偉大な力を発揮した人で、夢を抱かなかった人はありません。それは、人間は一旦夢を抱くと、驚くほど高貴な力を現して来るからです。
 昨年、世界の歴史の一頁を飾った湯川博士にしろ、古橋選手にしろ、夢を実現した一人でしょう。然し、夢を実現することは、並大抵のことではありません。山に登る如く、一歩一歩踏みしめ、最後の一歩までゆるがせにすることなく進まなければなりません。
 今や日本は、焦土に萌え出た若草のように、新しい生命の芽生えを見せています。この若草を育て、しかも、それに美しい花を咲かせるのは、皆さんのように若い人達です。
 皆さんの一人一人が、大きな夢を抱いて進む時、日本も美しい花園となるでしょう。
 
卒業は第二の出発点です
吉 田  若 松
 卒業おめでとう。皆さんは卒業と同時に第二の出発点に立っているのです。これから人生の旅がはじまります。こんな弱い子がと思われる子供でも覚悟次第で随分と高い山にも登れます。アルプスのようなけわしい山も、覚悟次第では誰でも征服できるものです。一旦覚悟をきめると、一寸想像されない力が出るものです。十里の旅なら十里歩ける覚悟をします。岩手山に登るならそれだけの覚悟を要します。あなたはこの一生を何と心得ていますか。まさか散歩気分ではないでしょう。百里の旅です。千里の旅です。いいえ、もっと遠い旅路です。あなたはどんな人物になるつもりですか。大学者でも望んでいますか?
私達は必ずしもそれを望まなくともよいでしょう。
 しかしお互いにこれからどんな道を進むか解らないが、とにかく立派な人になろうではありませんか。善い人物になろうではありませんか。人格の高さに制限はないのです。すぐれた人格として、磨き磨き、持って生まれた才能を生かし、伸ばせるだけ伸ばして見ようではありませんか。
 

写真1:卒業文集「進学」第46号の表紙、表紙をデザインしたのは伊正こと
    伊藤正吉先生(図画)でしょうか?
 

写真2:校舎全景と岩手山 岩手山は修正したあとが見られる。
全面は雪に覆われた田圃
 

写真3:左から吉田、森、堀合の3恩師
下段に校歌、土井晩翠作詞とある。
 

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