e−たわごと No.198

投稿日 2006/04/08  マドンナへの憧れ
寄稿者 竹生健二

小学校一・二年生の時の担任だった千葉智恵子先生は優しい先生で、特に国語の授業に力が入っていた。ある日「白鳥の湖」の物語を読んでくれた。教科書ではなく、多分図書館にあった本を分りやすく読んでくれたのだと思う。「エルザ姫」が魔法の力で白鳥にされてしまうが、王子様が現れて魔法を解き、姫をもとの姿に戻すという話だった。この話を聞いて、「エルザ姫」という物語中の主人公をそれ以降かなり成長するまでずっと憧れのマドンナとして胸に秘めていた。

小学生の高学年で、音楽の授業でのことだった。ベンチ式の椅子で、どこに腰掛けてもよかったと記憶している。授業が始まる直前で、皆がわいわい騒いでいるときに突然私の後ろの席で「竹生さんが吐いたってー ?」という声がした。すると多分その声の主の隣の席にいた高橋輝子ちゃんが、あわてて訂正する声がした。「んじゃなくって、竹生さんが『はいっ』て言った!」そのあとは二人の笑い声。

そういえばその数日前、教室に一人残って、さぁ帰る支度をしようとしていたとき、A子ちゃんと輝子ちゃんが入り口から中を覗き込んだ。A子ちゃんが私に向かって「戸締りをして帰ってね」と言ったと思う。私はA子ちゃんから直接声を掛けられて、すっかり緊張してしまって「はいっ」と答えたのだ。当時は教室で先生に答えるとき以外は盛岡弁を使うのが当たり前で、「うん」とか「わかった」くらいの返事が普通なのだろうが、それを改まって「はいっ」と言ったものだから、女子生徒の間で話題になったのだろう。思春期のさわやかな思い出だが、でもそのときは本当に切ない思いで一杯だった。

もう一つ。中学三年生の夏休み中で、転校する直前に福ちゃんの家に遊びに行ったときのことだ。何かの都合で福ちゃんも妹さんも一階に降りていて、私一人が二階に取り残されていた。しばらくして二階に上がってきた人がいたが、その人を一目見て私はまるで金縛りにでもあったように硬直して声も出なかった。福ちゃんの妹さんの級友で、私たちとは二級下のT嬢だった。多分福ちゃんの妹さんの所に遊びに来て、妹さんは手が離せないので、ひと先ず一人で二階へ上がるように言われたのだろう。背が高く、すんなりした体格で、しかもとてもきれいな人だったので、中学に入ってきたばかりだったのに男子生徒には目立った存在だった。運動も得意で、小学校時代の運動会のリレーでも活躍していた。だから中学校に入ったら、庭球部に入部してくれれば丁寧に指導してあげられるなどと勝手に想像を逞しくしていたが、残念ながら陸上部に入部してしまった。
さて私といえば女性にはめっぽう弱かったから、早く福ちゃんが都合をつけて二階に上がってきてくれることを祈るばかりだった。

このように小さい時から女性には強い興味を持つほどませていたが、実際には面と向かって話も出来ないほど初心だった。

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