e−たわごと No.260

投稿日 2006/06/22  アンデス越え
寄稿者 八柳修之

ブエノスアイレスからチリの首都サンチャゴまでは空路約2時間、日帰りも可能である。エセイサ空港を飛び立つと、眼下には広大な麦畑と平らな緑の草原が続く。
飛び立って約1時間半、メンドーサ上空を過ぎると機体は急上昇し、アンデスの山越えとなる。やがて、南米最高峰アコンカグア峰(6,965m)の上空付近を飛ぶ。アンデス山脈の分水嶺はアルゼンチン・チリの国境となっている。山脈を越えると急降下し、ものの10分もしないうちにサンチャゴである。
チリは鰻の寝床のように細長い国、南北4,200kmに対し、東西の幅は平均180kmしかない。資源には恵まれてはいないが、教育水準は高く、アルゼンチンのような個人主義的なところは少ない。
83年3月、子供の秋休みにメンドーサからサンチャゴまで陸路、バスで山越えをすることにした。メンドーサはアルゼンチンワインの主産地である。
アンデス山脈の西側斜面、乾燥した気候とアンデスの雪解け水は、マルベック、カルベネ・ソヴィニヨン、シャルドネなど葡萄の栽培に適している。葡萄畑を横目に、一年中雪を頂いた5,000m級の山々が聳えるチリへの道は、インカ帝国当時からのインディオの道であった。元ペルー副王の息子オヒギンスがアルゼンチンのサンマルティン将軍とともに5千の軍勢を率いて、ここを越えてスペイン軍を撃破したチリ・アルゼンチン独立の道でもあった。現在はチリ・アルゼンチンを繋ぐ大動脈である。出稼ぎ者でチリからアルゼンチンへの流れが多い。ワインなど日本やアジア向けはチリ経由で輸出される。アルゼンチンワインがチリワインより高いのは、人件費とチリに関税を支払っているからである。
バスは高度が上がるにつれてヘヤピンカーブの連続である。一番高い所が3,200mであったが、頭は痛くならなかった。トンネルの先がチリ。
おっと待った。その前にアルゼンチンの通関がある。運転手が「みなさん、チップ、任意だよ」と言って布の袋を回す。きょとんとしていると「コイマ(賄賂)、ドルでも良い」だと。貴重品だけ持って出国手続き、ポンポンとスタンプ。バスに戻ると、鼻薬の効果か税関吏が形式的にバスのトランクを開けてOK。
トンネルの先、チリの税関でも同じこと。トイレ代だと思えば、まぁ、いいか。
再びヘヤピンカーブを下ってサンチャゴへ。所要時間は6時間30分。陸路でアンデス山脈を越えたということだけ。間じかにアコンカグアを見たことだけでした。子供達にはお疲れの旅であった。反省。
(この内容は83年ころのものです。サンチャゴ・ブエノスアイレス間航空賃大人 11,874,000ペソという記録があるが、何ドル相当であったか分からない)

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