e−たわごと No.265

投稿日 2006/06/22  プンタデルエステ(東の岬)
寄稿者 八柳修之

プンタとは岬、エステとは東という意味である。南米大陸の東端はブラジルのレシフェなのだが、ウルグアイにも東の岬がある。ウルグアイはアルゼンチンとブラジルに挟まれた小国(面積は日本の約半分)、もともと両国の紛争を避けるためにつくられた緩衝国である。目立った産業もない農牧国である。
日本との関係は希薄でメーカーも商社も駐在していないが、なぜか日本大使館がある。一見、冴えない国であるが、金融税制上の恩典がありお金持ちの金庫ともなっている。
プンタデルエステはラプラタ河と大西洋の境目の線上にある。首都モンテビデオから東へ約140km下ったところにあるが、ブエノスアイレス市内から約40分の直行便もある。南米有数のリゾート地で1〜3月の真夏のシーズンには、アルゼンチンやブラジルからの避暑客で人口6千万人の町は30万人に膨れ上がるという。(大分誇張があるようだが・・・)
この町のラプラタ河沿いは砂浜、大西洋岸は荒々しい海となっているので、海水浴客とサーフインやヨット、モーターボートに興じるのに最適である。
水平線から昇る太陽と沈む太陽を観ることができる。砂浜の海岸にはコンドミニアム群が連なり、ちょっと離れた松林の中には豪華な別荘が点在する。
コンドミニアム、別荘の約7割がアルゼンチン人の所有と聞いて、国の対外債務問題と個人の豊かさとは全く別物であることを痛感した。お金持ちは預貯金、資産を規制のない安全な所へ逃避しているのである。このお金持ち相手に夏の間だけ高級ブティク店、ブランド店が店を開け、白いベンツのタクシーが走る。

アルゼンチン、ブラジルは12月から3月までバカシオン、少なくとも1か月は連続して休む。春が過ぎるころから人々の話題は、もっぱらバカシオンをどう過ごすかである。バカシオンのためにこの一年を働くといっても過言ではない。ピンは国外に別荘を持っている者から、キリにはそれ相応の施設の利用に至るまで、人々は生活のレベルに応じてそれぞれの過ごし方をする。
いずれも長期休暇、日本のように一週間程度なんていうものではない。ただ一日のんびりと何もしないで家族と過ごすのが、最高、至上の幸せとするのだ。
私もバカシオンも終わりに近い84年3月末、プンタデルエステへ家族旅行したことがあった。ホテルの数は少なく、カジノ・サンダーラファエルという、その名のとおりカジノがあるホテルに3泊した。もちろん、損すると分かっていることはしないし、第一、一攫千金を狙う元手もある筈もない。
悲しいかな、我々家族は何かを見に行くとか、絶えず何かしていなければ時間を持て余すのであった。

ラテンアメリカ人と日本人の差、根底にあるものは労働哲学というか生活哲学の差にあるのではないかと思う。
かつて、お役所の肝いりでリタイアした人々が老後を海外で過ごすシルバーコロンビア計画というのがあり、ウルグアイもその候補地となったことがある。海外で暮らすには言葉の問題を云々する人がいるが、要はどこに住んでいても、毎日をどう楽しく過ごすのかの術であろう。
(6・22)

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