e−たわごと No.271

投稿日 2006/06/30  100万ペソ札
寄稿者 八柳修之

海外で生活するに当って、ご婦人方が最初にまごつくのは日常の買い物であろう。言葉の問題に加えてアルゼンチンでは、通貨の単位という厄介な問題がある。私が最初に駐在した1982年当時は、物凄いインフレで世界最高額紙幣100万ペソが、日常の買い物に使われていたからである。
通貨の単位は大きい方からいうと、100万、50万、10万、5万、1万、5千、千、500、100、50、10、5、1、それ以下はあっても通用しない。
スペイン語を習ったが、日常会話で習う数字は精々1万位までである。買い物にミジョン(100万)などという単位は、天文学的数字なのである。だからアルゼンチン人は数学の天才とさえ思ったことがあった。だが、彼等はお金には強いが、算数には滅法弱いのである。
    
そこで生活の知恵というか、お札の色が重要な意味を持っていることが分かった。例えば50万ペソ札は緑、1万ペソ札は赤、千ペソ札は黄色というような色調になっているので、赤3枚とか、黄色5枚とか言うような言い方もしているのである。

1か月30パーセントも超えてインフレが続くと、そのうち100万ペソ札では間に合わなくなり、コンピューターも桁不足となる。通貨当局としては、さすが不名誉な1000万ペソ札は発行できずデノミとなる。100万ペソを4桁切り捨てて100アルヘンチーナ新ペソ(発行当初は100ドル相当)に変更したことがあった。我々日本人は混乱が起きるのではないかと危惧したが、そこはさすがインフレに手馴れた国、お札のデザインは全く同じにし、ただ数字を変えただけなので、従来どおり、赤、緑、黄色というように色で識別できるのである。

しかし、その後もインフレは一向収まらず、新500ペソ札、新1000ペソ札が登場した。新1万ペソを発行しなければならなくなったとき、政府はインフレと賃上げの悪循環を断つため、物価と賃上げをすべて凍結、新1000ペソを1アウストラル(南極という意味)とする経済政策を199年に採ったのである。
なんと赴任当時からみると7桁も切り捨てたことになっていた。インフレは収束したが、それでも86年は80%であった。
アルバムの中には、アルゼンチンの思い出として、今は紙屑となった100万ペソ札などが貼ってある。
上は1,000,000ペソ札 下は4桁切り捨てた新100ペソ札。 デザイン、色とも分かりやすいように工夫してある。通貨のコピーは法律に触れるので、透かし部分に見本というスタンプを押しています。「透かしあるかって?」「それりゃあ、ありますよ」

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