e−たわごと No.293

投稿日 2006/07/12  汚い言葉の底
寄稿者 八柳修之
サッカーW杯、時間に関係のない生活をしているから結構楽しんだ。
だが、決勝でフランスのジダンがイタリアのマテラッテイから侮辱した言葉を浴びせられたとして、頭突きし倒した行為は、理由はともあれいただけない。
ジダンは「母と姉に関する個人的な内容、とても激しい言葉、人間として許しがたい言葉で傷つけられた」と説明している。マテラッテイが「テロリスト」と言った報道もあったが、一般には「売春婦の子」と言ったとされている。
これに対しジダンの母親が「マテラッテイの急所を切り取ってやりたい」と言ったというから、これも酷い言葉だ。
根本に移民・人種差別の問題があるとする論評もあるが、それだけだろうか。

ジーコーが、かつて「Jリーグの観客に女子供が多いのには驚いた」と言っていたことがあるが、私の知る南米のサッカーは、女子供の観客は稀有、観客席は柄の悪そうな労働者風の男達で一杯だ。紳士の国でもフーリガンが騒ぐ。
南米、広くラテン系と言ってもよいかもしれないが、選手は正々堂々と戦うこと以上にずる賢く戦うことの方が大切と考えている向きがあり、かっとなりやすい選手を言葉で挑発するのも手段とされている。ピッチの上での侮辱、挑発は日常茶飯事である。

アルゼンチンの例を見てみよう。アルゼンチンはスペイン、イタリアの移民から成り立っている国である。特に第1次大戦後、南イタリアの貧しい人々が移民としてやって来たので、イタリア系の人が多い。
アルゼンチンの社会の中・上流階級社会には、いまだマチスモ(男性優位社会)の概念が色濃く残るが、下層階級では女性は一旦結婚すると自由に行動し、家族はむしろ母親中心の家族となる。父親の影は薄くカカア天下、この階層では父親を侮辱する言葉は少ない。
フランスの事情は分からないが、アルジェリア移民の子であるジダンも同じような環境で育ったと思われる。とくにイスラム系の人は母親、女兄弟への愛情が強いと聞く。

スペイン語で知っている汚い言葉は少ないが、怒り、腹立ちなどの感情表現の例を挙げる。性的な言葉もあるがイワヤマの品位上書かない。
・てめえの母さんに糞してやる。(
Me cago en tu madere
・てめえを生んだ母さんの顔が見てえよ (
Me cago en la leche)
・悪い乳(できそこないめ)(
Mala leche)
・猿より悪い乳を持っている。(猿よりできが悪い)(
Tu tienes peor leche que un mono)

私が言いたいのは、そういう貧しい階層の人の中から、多くサッカー選手が生まれているから、汚い言葉が出るのには必然性があるということである。
裕福なニッポン、Jリーグでは考えられないことである。選手もサポーターも、選手同志や外国人選手に汚い言葉を発することはないと思うのである。
(7・12)

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