e−たわごと No.309

投稿日 2006/08/01  亜国見聞録―4 自己主張が強い
寄稿者 八柳修之

ラ米のことわざにこんなものがある。「口に出さなければ神様も聞きとどけない」「沈黙することは同意している」「大声で叫ぶ10人は黙っている10人よりも多くのものを得る。(チリ)」

ラ米の人々は自己の存在をアピールしたい、自分を顕示したいという特性がある。謙譲の美徳など存在しない。個性が強く、プリメーロ ジョ(自分が第一)、自分があくまでも中心であって、自分の意見や主張を押し付ける性癖がある。
会話は一方通行、黙って聞いていると同意したものと看做される。お前は意見や主張がない馬鹿かということになる。
移民の国であるから相手が外国人であろうと、アルゼンチンに住む人はアルゼンチン人、スペイン語を話すのは当然と思っているから、難しい話になるとバンバン、機関銃のようにぶち込んで来る。

私の仕事の大半は運悪く借金の取立ての時期でもあったったから、嫌な話しであるから、これには参った。1話すと、なんやかや10になって帰って来る。相手の言う話しの内容は気に入らないから、相手の言うことを聞く前に先に自分の言いたいことを言って来る。こちらも話を聞かないで、次になんと言ってやろうかと考えている。そのうち、声も大きくなるというものである。

前にも書いたが、二人の人が同時に言葉を発したとき、「ペルドン(失礼)」という。「ペルドン(失礼)」には、二つの意味がある。
額面どおり「失礼、どうぞお先にお話ください」という意味ではない。ここでは、相手に譲るのではなく、自分が話を続けるためなのである。とにかく、俺に言わせろ、ということである。
もう一つの「ペルドン(失礼)」は、相手の言うことが分からないときである。相手に聞き返すときにも使われるが、言っている事が論理的でないと「Que ヶ?(何に)と言って聞き返して来る。生半可な話しだと、さらに「ケ」「ケ」と突っ込んでくる。
分かってもらいたいなら、ちゃんと論理的に話せということである。情に訴えるような話は通用しない。逆に筋が通ると「テーネラソン(tiene razon:直訳すればお前は道理を持っている⇒言うことはもっともだ)」となる。

スペイン語にも間接話法があるが、直接話法で充分である。今でも私はその癖が直らず、お前の話し方はキツイ言い方だと言われることがあるが、直すことは、70に近い老人には無理なようだ。
(8・1 八柳)

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