e−たわごと No.312

投稿日 2006/08/20  亜国見聞録―7 VIVO(こずるい)と日本人
寄稿者 八柳修之

スペイン語でVIVA(ビーバ)は、ご存知のように「バンザイ!」である。
アルゼンチンではよくVIVO(ビーボ)という言葉を耳にする。ビーボとは、西和辞典を引くと、生きている者、ふち、へり、という意味とあるが、アルゼンチンでは、こずるい(人)、ちゃっかりした(人)のことを指す。

行列の中にいつの間にか割り込み、ちょっと注意する者がいると、なんやら理屈をつける。後ろの者が、「ケ・ビーボ(なんてこずるい人だ)」と言う。でも、それ以上は責めずに容認する。
賄賂(コイマ)をちょっとせびったり、握らせたりする行為もビーボである。
要領よくこずるく賢く立ち回ることは、日常生活のなかではよく見られる行為ではある。特に罪悪感を持っていないように感じられるのである。
もちろん、こんなことはよいとは思っていないのだが、これは政治が腐敗し、経済が悪い・社会が悪いのが、原因だと思っているのだ。

ビーボは、とうてい日本人には受け入れがたい行為であり、日本の反対側の世界、対蹠的世界である。
この国では日本人は、正直で勤勉であると評価され、同じ東洋人でも中国人や韓国人とは区別されている。
アルゼンチンは食糧、エネルギー資源に恵まれているのに、ちっとも国がよくならないのは、このビーボがアキレス腱となっていると思っている。そして、アルゼンチンではよく日本人を見習え、そうすればきっとよい国になるという。

そこで、またチステ(小話)に見る日本人像を披露しよう。逆読みすれば、小馬鹿にされていることにもなるのだが・・・

第一話:日本人は立派だからこそ、賄賂を取る
ある日本人が交通違反で捕まった。警官が賄賂を督促した。お金の持ち合わせがなかったので、「罰金(ムルタ)を払うから、振込書をくれ」と言った。
警 官「俺は毎日、この時間にここに立っている。ついでのときに持って来てくれればよい」
日本人「でも、私が持って来なかったらどうするのだ」
警 官「お前は日本人だろう。日本人は正直である」
そのあと日本人はよく考えたが、やはり日本人の名誉のため、翌日、賄賂を持って行った。
警 官「やっぱり俺が信じたとおり、日本人は正直だ」
日本人「日本人の美徳をタネに賄賂を取るとはけしからんじゃないか」
警 官「日本人は正直だからこそ、罰金よりも安い賄賂にしてやったんだ。これがイタ公、レバシリやチーノだったら容赦なく罰金にしてやるぞ」

第二話 商売女からも賞賛される日本人
ブエノスアイレスの郊外のエスコバール市で花の栽培をして成功している、ある日本人が、ブエノスアイレスにやって来たとき商売女に声をかけられた。
日本人「お金がないから遊べない」
商売女「いいのよ。お金は次のときでいいのよ」と言ったので遊んだ。
その日本人は、翌日、花束を持ってお金を返しに言った。
商売女「さすが、日本人だ。こんな立派な国民は世界中どこにもいない。その上、花まで持って来てくれるなんて」

(注)日本人移住者には花屋と洗濯屋が多い。この理由については別に書くが、アルゼンチンではよく花を贈ったり、飾ったりする習慣がある。
エスコバール市は、初期に移住した日本人が花卉栽培をして開いた町である。
(8・20 八柳)

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