e−たわごと No.315

投稿日 2006/10/13  亜国見聞録―8 泥棒の分類(1)
寄稿者 八柳修之

経済状況が悪いと治安が悪くなるのは世の常、慢性的インフレに悩む南米は泥棒が多い。泥棒は一般的にはラドロンというが、小さなすりやこそ泥から、大は政治家の汚職、賄賂にいたるまで泥棒だらけだ。
最初に、以下の記述は、80年代前半から90年代前半の話しであることを、お断りしておきたい。この状況は現在でも変わっていないと思うので、海外旅行される方は参考にして気をつけてください。 

1.すり・・・ラテロ(ratero)、カルテリスタ(cartista)という。
 混んだバス(スペイン語ではブス)や電車で気が付いたときポケットから財布(カルテーラ)が抜き取られた。知らないうちにハンドバックが刃物で切り取られ、財布だけ抜き取られたというケースである。
よくある手が、洋服にアイスクリームやケチャップをかけて、親切を装って拭いてやりながら懐中物を拭き取るという手口などである。
 予防法はズボンのポケットには財布を入れないこと、むき出し紙幣を分散して入れておくことである。電車やバスの中ではカンガルーのように荷物を前に抱えることである。道を歩くときは、ショルダーバックなどは車道側の肩にかけないこと。オートバイに乗ったガキどもにひったくられる。
しかし、どんなに注意しても車内で知らないうちに抜き取られることもあるからお手上げ、身に危害が及ばなかっただけよかったと思うしかない。その技は職人芸とさえいえる。盗られる奴がトンタ(tonta 馬鹿)なのだ。
 
1904年、ブエノスアイレスに世界で初めてのバスが走った。
サイケデリックな色彩は、この街の景色には似つかわしくない。

2.置き引き
・・・デスクイデーロ(descuidero)
 ホテルのバイキングなどでハンドバックを席に置いたまま食事を取りに行った最中にとか、空港のカウンターでチェクインをしているほんの一寸した隙に、あるいは待合室などで席に座っているとき泥棒の一味が小銭を落とし、つい親切心から拾ってやっている隙に鞄を取られるといった、日本人や旅行者がよく被害に遭うケースである。
 動詞のデスクイダールには、怠る、油断する、という意味があり、取られた方にも不注意であったという意味合いもあろう。南米では落し物、忘れ物は絶対に戻って来ないと思ってもよい。
 
 だが例外もあった。お客さんをカバーニャ(一流の肉専門料理店)へ案内したことがあった。お客さんが店を出たあと、カメラを忘れたことに気づきお店に戻った。なんとカメラはあったのである。このレストランはいつも利用し、席も給仕も決まっていたので、給仕がドロンしなかっただけである。
一流のレストランであったこと、日頃のチップの効果かもしれない。ただし、こういったことは例外と考えてよいだろう。落し物、忘れ物は神様からのお恵みと考える。
 
3.こそ泥・・・ティマドール(timador)
 留守中に家財を取られることがよくある。某商社の駐在員が家族で旅行中、家財一切を取られてしまったということがあった。日中公然と行われたので、あたりの人は引越しと思ったという。このケースでは女中やポルテーロ(門番)が手引きした疑いがあった。
 泥棒はその家が外出するかどうかは、小さな子供がいる家なら良く判るという、何故って・・子供は嬉しくてアパートの玄関ではしゃいでいるのを見ているからという。これはKさんの話し。
 泥棒に入られたとき、人は「留守でよかったね」という。居直り強盗でもされ、危害が加えられなかっただけラッキーというものだ。
(続く)

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