e−たわごと No.335

投稿日 2006/12/08  「盛岡ノスタルジー4」 神子田の朝市
寄稿者 八柳修之
 
 
私の子供の頃は神子田の朝市はなかったので、ノスタルジアとして採り上げるのは、いかがとは思うが、その光景にはなぜか懐かしさを感じたので採り上げることとした。
神子田の町の一画には盛岡で最も早く朝がやって来る。朝5時から8時までの3時間だけ賑わう一画がある。めっぽう朝に弱い私は、W先生の若さと熱意に負けて朝6時に起床して出かけた。正確な場所は分からなかったが、そこはそれ大体の方向感覚で、上小路から河南中学の横を通り、まだ寝静まってひっそりとしている住宅街・・・昔はこの辺り一帯は田圃だったのだが・・・自転車で追い越して行くオヤジや、足早に歩く主婦の後をついて行くと朝市に着いた。
車で来る人が多いのか、大駐車場もある。市場は両端に木造の売り場2棟、真ん中に鉄骨立てのトタン屋根の売り場が1棟あった。いずれも屋根つきの露店があると思えばよい。ここで立派な建物はトイレだけであった。

朝市場は結構お客さんで賑わっているが、威勢のよい売り声、ざわざわとした喧騒が聞こえて来るわけでもない。割り当てられたショバに、近在のオガァ達が座り込んで、自分の畑で穫れた野菜、果物、切花を売り、自家製の漬物、お餅、赤飯、山で採って来た茸などのほか魚介類を並べて売っている。懐かしい紫蘇まき人参も売っていた。
穫りたての新鮮さが売り物なのであろうか、なかには曲がった胡瓜、不ぞろいの茄子、市場には出せないような規格外品も並んでいる。値は付いているが、交渉次第でどうにでもなるようだ。
商売熱心なオガァがいるかと思えば、客と井戸端会議、世間話をしているオガァもいるし、もう売れなくてもいいのか黙然と座りこんでいるオガァもいる。

聞くところによると、この朝市は農家のオガァ達が生産物を売って生計を立てるばかりでなく、オガァ達のホマツ(小遣い)稼ぎにもなっているそうだ。
また、オガァ達同士で売れ残った物を物々交換し合うというから、市場の原点でもあるようだ。大型スパーに対抗できるオガァのパワーを垣間見た。
盛岡市内の通りではもう見られなくなったオガァ達の姿は、ここにいまでもどっこい生き続けているのだった。さすが鉄漿(おはぐろ)のオガァはいなかったが。考えてみれば来年古希を迎える自分だってオガァ達と同じ年頃だ。
(12・8)

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