e−たわごと No.379

投稿日 2007/09/06  遠野へ(2) かっぱ考
寄稿者 八柳修之

どこにでもある何の変哲のない小川でも、河童が出たという伝説があると観光スポットとなる。遠野物語119話のうち、河童の話は5話ある。「川には河童多く住めり。猿が石川ことに多し。・・・」(55話)とあるように、この地区では河童は多く見られたようだ。なかでも、どんど晴れでも採り上げられた常堅寺の裏を流れる小川の河童淵は有名ということで行ってみた。
生憎の雨で水が濁っていたが、普段は綺麗な流れであるという。いかにも河童が棲みそうな様相である。常堅寺境内にある狛犬は、頭に円形のくぼみがある河童の狛犬が鎮座、お皿にはお賽銭が上がっていた。
 
河童淵 河童の狛犬
 
さて、河童の正体であるが、生物学的アプローチではカワウソではないかという説が有力である。かつて、カワウソは日本全国に広く分布されていたが、昭和54年、高知県で確認されて以来、日本オオカミ同様、幻の動物である。
一方、想像上の河童、全国各地に伝わる河童伝説は、おおむね人々を驚かし、いたずら、わるさをするが、どこか愛すべき動物として描かれている。
「遠野物語」にも、淵に馬を冷やしに行き、ちょっと目を離した隙に河童が馬を川に引き込もうとした。馬はびっくりして、その河童を引きずったまま、厩に戻った。河童は馬槽(うまふね)の下に隠れていたが、家の人に見つかり、これからは決して悪戯をしないと詫び証文を入れて淵へ帰った」(58話、拾遣178話)という話がある。これが一般的に知られた話であるが、「遠野物語」の中には、恐ろしい話、残酷な話しもある。
「M村のKの家にて、二代まで続けて河童の子を孕みたる者あり。生まれし子は斬り刻みて、一升樽に入れ、土中に埋めたり。その形きはめて醜怪なるものなりき・・・」(55話)「上郷村の何某の家にても河童らしき物の子を産みたることあり。確かなる証とてはなけれど、身内まつ赤にして口大きく、まことにいやな子なりき。・・・」(56話)「外の地にては河童は青しといふやうなれど、遠野の河童は面の色赫きなり・・・」(59話)
私は恐ろしい話、残酷な話しに注目したい。全国各地のある河童伝説地、かつての貧困であった地域と重なるのではないかと思う。天災や飢饉などによる子殺し、子棄て、堕胎、いわゆる間引きは多くあった。そして、その多くは川に棄てられたのではないかと・・・
一寸法師や桃太郎の話しも、やむにやまれず川に棄てられた子が、オジイサン、オバアサンに拾われ、大きく生長し立派な若者になったと解釈する説もある。
川に子を棄てた親、拾われなくとも、その子が河童となっても生きけ続けて行って欲しいと願っているでしょう。だから悪さをしても許してやる。これが河童を愛すべき生き物としたのではないでしょうか。
喰うに困らなくなった昨今、河童はもう見られないでしょうが、親の身勝手な理由で堕胎、赤ちゃんポストなんて許せない。
(9・6)

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