ことばあそび No.024

投稿日 2003/05/07  [ジョーク17] 俺はチーノだ
寄稿者 八柳修之

 中国、アジア以外の国へ旅行したことのある人は、街で子供や一見教養のないと思われる人に「チーノ」と呼ばれ不愉快に思ったことがある人がいるかもしれない。チーノとは中国人の意味であるから「ジャパニーズ」とか「ハポネス」とか言い返した人もおるだろう。
 これは元M商事のIさんから聞いたジョークである。


 千野さん、茅野さんでも白装束の千乃さんでもよい。ペルーのリマに駐在する千野さんが、いつもの中華料理店へ昼飯を食べに行った。その日は生憎、中国人だけの貸切の寄り合いがあった。
 お店の受付が「今日はチーノだけだ」と言った。そこで千野さんは「俺は千野(チノ)だ。文句あるか」と言った。

 どうもIさんの創作のようであるが、Iさんはすでに星となってしまい今となっては確認できない。
 なぜ、彼らはチーノと言うのであろうか。彼らは我々がスペイン人とイタリア人とを区別できないように、中国人と日本人を区別できない。だから一からげに東洋人のことを指していると考えてもよかろう。
 チーノという言葉は、パナマ、ベネズエラ、コロンビアでは蔑視語、差別語として使われている。その昔、アフリカ人に代わって、パナマ運河の開削や鉱山開発のために中国からクーリーを大量に受け入れた名残ともいえよう。
 チーノは必ずしも中国人、東洋人という意味だけでは使われていないようだ。中米では毛のない禿げた頭の人のこと、メキシコでは縮毛の人、キューバでは原住民と黒人との混血、チリでは原住民のこと、所によっては下男、下女の意味もある。いずれにしてもよい意味ではない。

 「スペインの聖と俗」(有本紀明著)によると「スペイン人の特性として人を判断する際、直感的に美醜とか服装で判断する。彼らは口に出さぬが、なんという脚、なんという鼻、なんというつり上がった目とか、心の中で思っているらしい。チーノに代表される東洋人が、彼らの美的観点から、高く評価されない理由である」と。どうもこれが根底にあるようだ。

 やはり星になったKさんによると「チーノには小さな子供とか、可憐な娘」という意味もあるそうだ。誰でも知っている単語であるから辞書を引くことがなかったが、白水社の西和辞典には確かにそのような意味もあった。

八柳)

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