関東発 No.024

発信日 2004/02/29  幸福の木
発信者 八柳修之

小川さんはセイボの花の写真を見て、亡き人の想い出を綴られていました。
女房は亡くなった人の思い出を失わないために花を育て続けている。
私の父は晩年、毎日、観葉植物を育て過ごした。息子たちは園芸にはほとんど関心を示さなかったが、女房だけは例外であった。根分けや水遣りなどを訊ねると、親父は喜んで説明し、いつも自宅へ持って帰るようにと包んでくれた。
その父は93年、86歳で他界、もう10年以上も経っているのだが、父から貰ったオリズルラン、シャコバサボテンは未だに健在である。いずれもありふれた観葉植物、ただでさえも狭いベランダのスペースを占拠しているが、思い出なのだから育て続けるという。

写真はドラセナの花である。花を咲かせるのは難しいという。
ドラセナは幸福の木、長寿の木とも呼ばれている。生命力の強さは抜群とされているが、原産地は東南アジア、アフリカとあって寒さには弱いようである。ドラセナは日本ではごくありふれた観葉植物で、安価に求められる。しかし、この写真のドラセナはブラジル原産である。

1988年、2回目のアルゼンチン赴任は子供たちが高校生になっていたので、単身赴任であった。8月、家族が夏休みを利用して遊びに来たとき、リオまで見送り、その際、お土産屋でつり銭替わりに貰った3本のうちの1本である。
お土産用であるから、長さ10センチほどに切り、両端を蝋で固めたものだ。一か月ほど水に浸しておくと、切り口から芽が出てくる。
3本のドラセナの行方は、義母、自宅、そしてブエノスアイレスに持ち帰った自分用である。我が家へ持ち帰ったものは、すでに蝋の密閉が不完全であったのか育たなかったという。
そして、この写真のドラセナは92年5月、義母が癌のため入院したとき引き取ったものである。その義母は10月に亡くなってしまった。その後、見事に花を咲かせたのが、この写真である。大船植物園に訊ねてみたら、一般家庭で花まで咲かせるのは珍しいことだという。「大切に育てたのですね」といわれ、気をよくして育て続けている。
今、あるドラセナは上の幹を切り取って育てたものであるが、湘南は暖かく成長も早いので、これも1.5mに達している。春には3世代目にしなければならないなぁと女房と話している。
 
(2月29日 八柳)

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